第22回北陸の家づくり設計コンペ
「第22回北陸の家づくり設計コンペ」募集概要
テーマ:井戸端会議が花咲く家
高度成長社会では建築の形や空間を如何に魅力あるものにするかという「モノの構築」の発想が主流でした。一方、地球環境・成熟社会・震災復興などが社会のメインテーマになっている現在では、人間の活動や関係をどのようにデザインするかという「場の形成」に社会が注目するようになっています。そこで今回は、地域のコミュニティや絆を深めるために家はどのような場であるべきかを考えてみましょう。公民館のような地域のフォーマルな交流の場ではなく、日常生活の中で自然発生的に生まれる会話や活動に着目してください。
課題タイトルにある「井戸端会議」は生活シーンを表現する言葉ですが、この意味を辞書で調べると「井戸端などで、近所の女たちが水くみや洗濯などをしながら、人のうわさや世間話をすることをからかっていった語。転じて、主婦たちが家事の合間に集まってするおしゃべり」(大辞林第三版)となっています。井戸端会議という言葉からスタートし、道から遠くない家のどこかに近所の人が気軽に集まり、会話や活動が自然に生まれる魅力ある場をイメージして描き出してください。「サザエさん」に出てくる玄関先や縁側あたりのスペースや雰囲気を想像してください。そして、北陸の雨や雪の日にでも近所の人が集まりやすいような工夫やしかけが必要になりそうです。さらに、井戸端会議に留まらず、飲食や園芸等の趣味を絡めることで、集まる楽しさが膨らむ夢のある提案も大歓迎です。アイディアを競い合うコンペですから、提案のポイントが明快で魅力的であること、またそれが建築として分かりやすく優れたプレゼンテーションであることが重要です。
また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も必ず考慮に入れてください。
- 北陸の地域特性を活かした住まい
- 心豊かで、健康な住まい
- 地域や街の、安心・安全・快適への貢献
審査員
審査員長 | 蜂谷 俊雄(金沢工業大学教授) |
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審査員 | 高嶋 猛(福井大学大学院工学研究科非常勤講師) 濱田 修(有限会社濱田修建築研究所) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部(高専4~5年含む)
- 大学・大学院の部(専攻科含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
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特別賞 | たんぽぽ賞(オダケホーム賞) | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北日本新聞社賞 | |||
北國新聞社賞 | |||
福井新聞社賞 | |||
優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 |
※高校の部については、建築科、建築クラブの取り組みとして先生方にも熱心にご指導頂いており、賞金の半額を記念品として学校へ贈呈します。
「第22回北陸の家づくり設計コンペ」結果
オダケホームが主催する「第22回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が平成28年9月に行われ、3部門、計10点の入賞作品が決定しました。今年度の応募総数は110点。
表彰式・作品発表会
日時 | 10月29日(土)15:00~17:30 |
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会場 | 富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F) TEL076-445-4531 住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横) |
このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。
作品展開催
富山大学 高岡キャンパス | 高岡市二上町 | 11/2(水)〜11/8(火) |
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北日本新聞高岡支社 | 高岡市あわら町 | 11/11(金)〜11/18(金) |
金沢工業大学 | 野々市市扇が丘 | 11/22(火)〜11/29(火) |
福井大学 | 福井市文京 | 12/2(金)〜12/8(木) |
福井工業大学 | 福井市学園 | 12/10(土)〜12/16(金) |
富山新聞文化センター高岡スタジオ | 高岡市中川 | 12/20(火)〜12/27(火) |
日本海ガスショールーム プレーゴ | 富山市黒崎 | 1/6(金)〜1/13(金) |
その他、オダケホーム常設展示場にて作品展示予定
審査員総評
現在の日本では、地球環境・震災復興・成熟社会などが社会のメインテーマになっています。そして建築設計においては、人間の活動や関係をどのようにデザインするかという「場の形成」に社会が注目するようになっています。そして今回のテーマは、地域のコミュニティや絆を深めるために、「井戸端会議」というキーワードを設定し、日常生活の中で自然に生まれる会話や活動を誘発するような魅力ある家を提案するものでした。「道から遠くない家のどこかに近所の人が気軽に集まり、会話や活動が自然に生まれる魅力ある場をイメージする」という課題説明の意味はすぐに理解されたものと思います。しかし、タイトルにある「井戸端会議」という言葉が、審査員世代には昔懐かしい記憶としてイメージできても、現在の若者にとっては映画やドラマにでてくるシーンであり、実体験をもとに考えることができない難しさがあり、応募者数が少なかったのではないかと思います。
応募案を総括すると、ほとんどの案が「井戸端会議が花咲く」という意味を「地域コミュニティを深める」に置き換えて、近隣の人あるいは友人や趣味の仲間を庭や家に迎え入れて楽しい時間を過ごすスペースを提案していました。つまり「井戸端会議の語源」から掘り下げた案よりも、むしろ課題説明に追記した「趣味を絡めることで集まる楽しさが膨らむ」という記述に着目し発展させた案がほとんどでした。したがって審査では、このような視点でより魅力的なイメージを提示できた案を選ぶことになりました。ただし、応募案の中には「サザエさん」に描かれた近隣の人との日常のさりげない会話シーンに着目して現代の家に当てはめた案もありましたが、コンペとしては控え目な提案に見えました。
本コンペの特徴である「高校生から大学院生までの応募者が同一のテーマに挑戦する」という視点で応募案を比較すると、今回も高校生部門で高いレベルの提案ができているグループがありましたが、一般的には学んだ期間や年齢の違いによって、テーマを解読する能力、発想や提案の方法、イメージを具現化する能力が徐々に高まっていくプロセスがわかります。惜しくも入選に至らなかった諸君は、入選案との違いを見てください。その違いがわかった時がもっとも勉強になり、次の努力目標が生まれる瞬間です。
審査は1次と2次の2段階で行いました。2次審査では各作品に対する意見交換を繰り返し、徐々に数を絞り込み、最終的に10作品を選びました。評価のポイントは、テーマに対する考察力、コンペ案としての面白さ・斬新さ・現実性、プレゼンテーション能力でした。来年も異なるテーマで第23回のコンペが開催されます。次回の応募に向けて、建築に対する見識を深め、イマジネーションを豊かにし、表現力を高めてください。
審査員長 金沢工業大学教授 蜂谷 俊雄
審査結果
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最優秀賞
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(高専4~5年を含む)
短大・専門学校の部(高専4〜5年含む)
高校の部(高専1~3年を含む)
(敬称略)