第17回北陸の家づくり設計コンペ
「第17回北陸の家づくり設計コンペ」募集概要
テーマ:魅力ある内外の境界領域のある家
建築は外壁で内と外が区切られ、そこには内外を繋ぐ要素として窓・テラス・出入口などがあります。この建築の内部と外部を区切ると共に繋いでいる部分を、ここでは「内外の境界領域」と呼びます。堅固な壁で囲まれた西欧の建築と比較して、日本建築は内外の境界が曖昧であり、内(室内)から外(庭)へと段階的に変化していきます。この部分を日本建築の特徴の一つとして「内外の中間領域」と呼ぶ人もいます。伝統的住宅においても、縁側・土庇などの空間や、蔀戸・障子・簾などの装置により、季節に合わせた工夫を凝らし、快適な居住環境をつくっています。
今回のテーマは、現代のライフスタイルを前提に、この内外の境界領域に魅力ある空間や装置を提案し、そこで行われる活動や生活の様子を描き出すものです。先人たちの知恵を参考に、現代の新しい境界領域のイメージを提示してください。空間演出や活動の場としての魅力のみならず、機能的であり環境に配慮された提案を期待しています。
また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も付け加えてください。
- 北陸の地域特性を活かした住まい
- 心豊かで、健康な住まい
- 地域や街の、安心・安全・快適への貢献
審査員
審査員長 | 蜂谷 俊雄(金沢工業大学教授) |
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審査員 | 濱田 修 (有限会社濱田修建築研究所) 高嶋 猛(福井大学大学院工学研究科講師) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部(高専4~5年含む)
- 大学・大学院の部(専攻科含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
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特別賞 | たんぽぽ賞(オダケホーム賞) | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北日本新聞社賞 | |||
北國新聞社賞 | |||
優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 |
※高校の部については、建築科、建築クラブの取り組みとして先生方にも熱心にご指導頂いており、賞金の半額を記念品として学校へ贈呈します。
「第17回北陸の家づくり設計コンペ」結果
オダケホームが主催する「第17回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が平成23年10月に行われ、3部門、計9点と優秀団体賞の入賞作品が決定しました。今年度の応募総数は150点。
表彰式・作品発表会
日時 | 10月22日(土)15:00~17:30 |
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会場 | 富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F) TEL076-445-4531 住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横) |
このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。
作品展開催
高岡展示場 | 1月27日(金)~2月5日(日) | 高岡市京田628 ジュートピア高岡内 |
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富山展示場 | 2月7日(火)~2月13日(月) | 富山市西荒屋275 ジュートピア富山内 |
金沢展示場 | 2月16日(木)~2月21日(火) | 金沢市駅西新町3丁目2-10 金沢駅西住宅公園内 |
金沢南展示場 | 2月23日(木)~2月28日(火) | 野々市市押野1丁目 金沢南住宅公園内 |
羽咋展示場 | 3月2日(金)~3月6日(火) | 羽咋市松ヶ下町砂田6-5 |
魚津展示場 | 3月9日(金)~3月13日(火) | 魚津市住吉567-1 新川ハウジングプラザ内 |
※水曜定休 |
総評
今回のテーマである「魅力ある内外の境界領域のある家」は、前回の「新しいライフスタイルが生まれる家」とは異なり、家の特定の部位をクローズアップし、魅力ある空間イメージを描き出すものでした。応募数の特に多かった昨年を少し下回りましたが、多数の応募案があり、審査員一同たいへんうれしく思いました。
提案内容を概観すると、具体的な家の部位をテーマとしたこともあり、コンセプチュアルな案は少なく、現実的な提案がほとんどでした。「内外の境界領域」を考えるヒントに、日本建築の内外の中間領域の特徴や西欧との違いなどを記載したことで、多くの作品が一般的な縁側空間を描くに留まっていました。コンペの意義である「空間の魅力や発想の斬新さを描いて競い合う」という観点からは物足りなく感じます。入選案との違いを見ていただくと、優れた提案ができるためには、知識や空間体験の豊富さが必要条件であることがわかります。素晴らしいと言われる実際の空間をどれだけ多く体験し、その良さの意味を理解できているか。また、その良さを独自の発想でさらに発展できないかを常に考える習慣を身につけることが重要です。つまり、優れた建築空間を生み出すためには、日々クリエイティブに生きていなければなりません。
優秀案の中には、中庭と居室の連続感を大切にしたもの、庇下に屋内的空間を演出したもの、屋内に土間空間を入れて外部的な面白さを表現したもの、家の外周部に立体的な動線空間を付加して内外の関係を楽しくしたもの、外壁の開口部に操作を加えて可変性をアピールしたもの、また、家の外側を一回り大きなシェルターで覆いその隙間に巧みな空間演出をしたもの、さらに、内外の境界領域をコンセプチュアルに捉えて不思議な空間を構築したものなどがありました。これらの作品は、「内外の境界領域」というキーワードをもとに、家の「ある部位の特徴をさらに魅力あるものに発展させる」、あるいは、「独自の論理を展開して意外な面白さを見出そうと試みている」作品でした。
審査は1次と2次の2段階で行いました。2次審査では各作品に対する意見交換と投票を繰り返して徐々に数を絞り込み、最終的に9作品を選びました。評価基準は、テーマに即した提案内容の面白さ・斬新さ・現実性と、それを表現するプレゼンテーション能力でした。来年も異なるテーマで第18回のコンペが開催されます。次回の応募に向けて、建築に対する見識を深め、イマジネーションを豊かにし、表現力を高めてください。一枚の図面ではありますが、その中に建築を学んだ様々な努力の積み重ねが凝縮されているものです。
審査員長 金沢工業大学教授 蜂谷 俊雄
審査結果
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最優秀賞(全体の中で1点)
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(高専4~5年を含む)
短大・専門の部
高校の部(高専1~3年を含む)
優秀団体賞
金沢市立工業高等学校
(敬称略)