第21回北陸の家づくり設計コンペ
「第21回北陸の家づくり設計コンペ」募集概要
テーマ:四季の変化を楽しむ家
春夏秋冬、四季の変化に恵まれた日本。人々はその変化と季節感を楽しみながら生活してきました。また、電気設備のない時代の家においては、高温多湿な夏や厳寒の冬の気候を凌ぐために、形態や空間も環境に対応した日本独自の進化を遂げました。例えば、内外の中間領域と言われる縁側空間と庭の関係、各室を区切る襖・障子・簀戸・簾などの建具の入替など、四季の変化に合わせた様々な工夫がなされてきました。 これらは気候の変化に対応する環境調整装置であると同時に、四季の変化を生活の中に取り入れ、精神的にも快適さを演出する設(しつら)えであったと言えます。また、庭の樹木や草花も季節ごとに変化し、建築の設えと呼応して魅力ある居住環境をつくり上げてきました。一方、現在の家の多くは高断熱・高気密の家をエアコンで温湿度調整することで快適さを求めることが一般化し、四季の変化が感じ難くなっていると同時に生活に活かす工夫がなくなってきているように思えます。 今回のテーマは、四季の変化を楽しむことができる家の提案です。必要に応じてエアコン等の電気設備を併用しても構いません。北陸では、土庇(土縁)空間を冬はガラス戸で囲って屋内化し、冬に洗濯物が干せるサンルームを付加するなどの先人たちの工夫があります。次の時代を担うあなたがたは、どのように四季の変化に対応し、その変化を楽しむことができる家を考えますか。
アイディアを競い合うコンペですから、提案のポイントが明快で魅力的であること、またそれが建築として分かりやすく優れたプレゼンテーションであることが重要です。
また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も考慮に入れてください。
- 北陸の地域特性を活かした住まい
- 心豊かで、健康な住まい
- 地域や街の、安心・安全・快適への貢献
審査員
審査員長 | 蜂谷 俊雄(金沢工業大学教授) |
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審査員 | 高嶋 猛(福井大学大学院工学研究科講師) 濱田 修(有限会社濱田修建築研究所) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部(高専4~5年含む)
- 大学・大学院の部(専攻科含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
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特別賞 | たんぽぽ賞(オダケホーム賞) | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北日本新聞社賞 | |||
北國新聞社賞 | |||
福井新聞社賞 | |||
優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 |
※高校の部については、建築科、建築クラブの取り組みとして先生方にも熱心にご指導頂いており、賞金の半額を記念品として学校へ贈呈します。
「第21回北陸の家づくり設計コンペ」結果
オダケホームが主催する「第21回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が平成27年9月に行われ、3部門、計11点の入賞作品が決定しました。今年度の応募総数は168点。
表彰式・作品発表会
日時 | 10月31日(土)15:00~17:30 |
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会場 | 富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F) TEL076-445-4531 住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横) |
このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。
作品展開催
日本海ガスショールーム プレーゴ | 富山市黒崎 | 11/5(木)〜11/9(月) |
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富山大学 高岡キャンパス | 高岡市二上町 | 11/11(水)〜11/17(火) |
金沢工業大学 | 野々市市扇が丘 | 11/20(金)〜11/26(木) |
福井大学 | 福井市文京 | 12/1(火)〜12/7(月) |
福井工業大学 | 福井市学園 | 12/9(水)〜12/15(火) |
富山新聞文化センター高岡スタジオ | 高岡市中川 | 12/19(土)〜12/25(金) |
北日本新聞高岡支社 | 高岡市あわら町 | 1/8(金)〜1/14(木) |
魚津展示場 | 1/17(日) ~1/24(日) | |
野々市展示場 | 1/30(土) ~2/11(木・祝) | |
富山展示場 | 2/14(日) ~2/21(日) | |
高岡展示場 | 2/27(土) ~3/10(木) | |
羽咋展示場 | 3/13(日) ~3/21(月・祝) |
審査員総評
古来日本人は自然に依拠し、高温多湿な夏や厳寒の冬の気候を凌ぐために日本独自の住居形式を創り上げ、縁側空間と襖・障子・簀戸・暖簾などにより、気候の変化に対応しながら、暮らしの中で家の設えや庭の景色の変化を楽しんできました。そして今回のテーマは、現代の価値観やライフスタイルにおいて「四季の変化を楽しむ家」とはどのようなものかを提案するものでした。テーマの意味はすぐに理解されても、魅力あるイメージを提示することは難しいのではないかと思いましたが、昨年よりも多い168作品の応募があり、審査員一同たいへんうれしく思いました。
応募案を総括すると、ほとんどがすぐに理解できる解り易い内容でした。最も多く出たタイプは、窓から見える外の景色の変化を楽しむものであり、庭の樹木、田園風景、星空などを眺める魅力をアピールしていました。ただし多くの作品が、外庭や中庭を見る窓の大小や形状の工夫に留まり、建築の形態や空間に発展させるには至っていませんでした。次に多くあった案は、家の外周に様々なテラスを巡らせ、家の中に路地的スペースを挿入することで、外との関係を濃密にし、光・風や植物の変化を楽しむものでした。さらにテーマを深く掘り下げた案として、季節ごとに建築の内外を仕切るガラス面や壁面の想定位置を変化させることで、季節による住み方の違いを示した作品がいくつかありました。この発想はコンペのテーマ説明文にあった伝統的な土庇空間の魅力を発展させたものと思われます。また中には建具の入替にヒントを得て、外壁や屋根を可動にし、環境調整装置を纏わせることで季節感を演出する案もありました。
他のコンペと異なる最大の特徴は、高校生から大学院生までの応募者が同一のテーマに挑戦することにあります。応募案を比較すると、学んだ期間の違いによって、テーマを解読する能力、発想や提案の方法、イメージを具現化する能力等が、徐々にハイレベルになっていくプロセスがわかります。その意味において、今回参加した高校生諸君は、通常の高校生コンペでは体験できない一つ上のレベルの作品との比較ができました。また、惜しくも入選に至らなかった諸君は、入選案との違いを見てください。その違いがわかった時がもっとも勉強になり、次の努力目標が生まれる瞬間です。
審査は1次と2次の2段階で行いました。2次審査では各作品に対する意見交換を繰り返し、徐々に数を絞り込み、最終的に11作品を選びました。評価のポイントは、テーマに対する考察力、コンペ案としての面白さ・斬新さ・現実性、プレゼンテーション能力でした。来年も異なるテーマで第22回のコンペが開催されます。次回の応募に向けて、建築に対する見識を深め、イマジネーションを豊かにし、表現力を高めてください。
審査員長 金沢工業大学教授 蜂谷 俊雄
審査結果
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最優秀賞
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(高専4~5年を含む)
短大・専門学校の部(高専4〜5年含む)
高校の部(高専1~3年を含む)
(敬称略)