第24回北陸の家づくり設計コンペ
テーマ:冬も楽しい雪国の家
日本の気候は、過ごしやすい春と秋、暑い夏、寒い冬が1年ごとに巡ってきて、四季の変化がはっきりと感じられます。特に、北陸では厳しい冬の雪の期間があります。この時期を過ごすために、街の除雪、住居の雪囲いや雪下ろしなどの作業が発生します。現在では街路の融雪設備、住居では高断熱の建築材や暖房設備によって、半世紀前よりは明らかに過ごしやすくなっています。しかし、寒い雪の期間には、窓ガラスを閉めきり庭や縁側との関係を遮断し、春を待つというマイナスイメージが常にあります。
そこで今回のテーマである「冬も楽しい雪国の家」は、高断熱の建材や暖房設備も併用しながら、家のつくり方そのものを自由に発想することで、他の季節とは異なる居住環境の在り方や生活スタイルの魅力を提案するものです。夏の暑さを凌ぎ、春・秋の庭との望ましい関係を保ちながら、さらに寒い冬にも別の楽しさがあるという欲張りなテーマではありますが、雪国(北陸)の家ならではの面白い住居形式と生活スタイルが提示されることを期待しています。建築のつくりや建具・家具などに季節に応じた可変性をもたせることも、冬と他の季節の違いを演出するアイディアになるかもしれません。
アイディアを競い合うコンペですから、炬燵に入って窓ガラス越しに雪景色を見ているシーンを描くだけでは、多数の応募案の中に埋没してしまいます。入選を目指すには、テーマに対して深く考察されていること、提案のポイントが明快で魅力的であること、優れたプレゼンテーションであることが重要です。
また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も必ず考慮に入れてください。
- 北陸の地域特性を活かした住まい
- 心豊かで健康な住まい
- 地域や街の景観・安心・快適への貢献
審査員
審査員長 | 蜂谷 俊雄(金沢工業大学教授) |
---|---|
審査員 | 濱田 修(有限会社 濱田修建築研究所) 西本 雅人(福井大学講師) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部(高専4~5年含む)
- 大学・大学院の部(専攻科含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
---|---|---|---|
特別賞 | たんぽぽ賞(オダケホーム賞) | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北日本新聞社賞 | |||
北國新聞社賞 | |||
福井新聞社賞 | |||
優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 |
※高校の部においては、先生方の熱心なご指導に感謝し、表彰金の半分を学校へ記念品として贈呈いたします。
「第24回北陸の家づくり設計コンペ」結果
オダケホームが主催する「第24回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が平成30年9月に行われ、3部門、計12点の入賞作品と8点の佳作が決定しました。今年度の応募総数は84点。
表彰式・作品発表会
日時 | 2018年10月27日(土) |
---|---|
会場 | 富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F) TEL076-445-4531 住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横) |
このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。
※高校の部においては、先生方の熱心なご指導に感謝し、表彰金の半分を学校へ記念品として贈呈いたします。
作品展開催
富山新聞社 高岡支社 | 高岡市広小路 | 10/30(火)~11/9(金) |
---|---|---|
福井大学 | 福井市文京 | 11/14(水)~11/21(水) |
福井工業大学 | 福井市学園 | 11/22(木)~11/30(金) |
金沢工業大学 | 野々市市扇が丘 | 12/5(水)~12/11(火) |
北日本新聞社 高岡支社 | 高岡市あわら町 | 12/12(水)~12/18(火) |
富山大学 高岡キャンパス | 高岡市二上町 | 12/19(水)~12/25(火) |
日本海ガスショールーム プレーゴ | 富山市黒崎 | 1/5(土)~1/11(金) |
その他、オダケホーム常設展示場にて作品展示予定
審査員総評
温暖な地域では四季の変化が楽しめる日本ですが、北陸に暮らす人々には「ただし冬だけは・・・」と一言付け加えたくなる気象条件の厳しさがあります。雨や雪の日が多くて庭との関係を楽しむことができず、雪が降れば道路の除雪や屋根の雪下ろしの作業が日常生活の一部になります。特に今年は昭和56年以来の大雪で、雪国の冬の厳しさを改めて実感しました。
本コンペの参加条件は「北陸にゆかりのある建築を学ぶ学生」ということで、応募された皆さんは「冬も楽しい・・・」という課題の意味はすぐに理解されたと思います。そして、厳しい冬でも家のつくりかたを工夫すれば楽しいライフスタイルが実現できるはずであると考え、北陸の冬を体験している自分なら優れた案を提示できると挑戦されたものと思います。しかし、具体的な案を考える段階になると、これがいかに難しいテーマであるかという大きな壁にぶつかったのではないでしょうか。今回特に応募数が少なかった状況にも表れていますが、応募された作品からも苦労された様子が伝わってきました。
応募作品には、一般的に快適と思われる住居空間に冬の雪景色を重ねて描くのみで提案を終了し、冬の魅力や特徴が提示できていないものが多くありました。一方で、雪国らしさをテーマとし、除雪作業に集まる近隣の人々の交流の場として、冬はガラスで屋内化された土縁スペースを設けた案や、屋根の勾配を工夫して子供たちが屋根の雪で遊べるように工夫した案、また、積雪時の状況を面白く演出してそれを楽しむという案もありました。さらに発想を変えて、同一の空間で夏や中間期と比較し得る快適さや楽しさを冬に求めることはせず、寒い時には暖かい内部に寄り添って暮らすという人間の本能に着目し、魅力ある冬ごもりの空間を描いた現実的な案もありました。雪の季節に対する思いは、日々の生業の中で冬を過ごす北陸の人々と、雪景色を楽しみに訪れる観光客や雪の中で遊ぶ子供たちとでは明らかに異なります。審査では、マイナスイメージの強い冬の期間でも、居住空間の工夫によっては他の季節には体験できない生活感を楽しむことができる空間を魅力的に描き出している作品を高く評価しました。
審査は1次と2次の2段階で行いました。2次審査では各作品に対する意見交換を繰り返し、徐々に数を絞り込み、最終的に入賞作品と佳作を選びました。評価のポイントは、テーマに対する考察力、コンペ案としての面白さ・斬新さ・現実性、プレゼンテーション能力でした。今回残念ながら入賞できなかった皆さんは、ここに掲載された作品とご自身の作品を見比べてください。その違いがわかった時が最も勉強になる瞬間であり、次に向けた新たな努力目標が生まれます。来年も異なるテーマで第25回のコンペが開催されます。次回の応募に向けて、建築に対する見識を深め、イマジネーションを豊かにし、表現力を高めてください。
審査員長 金沢工業大学教授 蜂谷 俊雄
審査結果
画像をクリックすると拡大します。
最優秀賞
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(専攻科含む)
短大・専門学校の部(高専4〜5年含む)
高校の部(高専1~3年を含む)
佳作
吉田 雄大(金沢工業大学大学院2年)
清滝 智輝(金沢工業大学4年)
小島 翔太(福井大学4年)
吉田 遼太郎(富山クリエイティブ専門学校2年)
中村 知保里(金沢科学技術専門学校2年)
廣田 実夢(金沢科学技術専門学校2年)
長瀬 遥希(高岡工芸高等学校3年)
木内 佑哉(羽咋工業高等学校3年)・野口 翔太(羽咋工業高等学校3年)(共同作品2名)