第25回北陸の家づくり設計コンペ
テーマ:みんなが集まる楽しい我が家
現在の日本の住居には「LDK+nB 型」という一定の形式があります。家族共通で使うリビングやダイニング・キッチンに家族数に合わせた個室がある構成です。そこには家族以外が集まって楽しい時間を過ごすスペースを設けるという発想はありません。一方、みなさんの祖父母や両親が育った伝統的な日本家屋では、部屋の襖を全 開にして広いワンルーム状態にすることで、冠婚葬祭や季節のお祝い事などを家の中で行っていました。また、両 親の友人が趣味の会で集まり、近所の子供たちも家の内外を遊び場にして楽しんでいました。ところが現在は、こ れらの行為の多くは葬祭場やホテルの貸室、公民館や児童館などで行われるようになっています。敷地や居住面 積の縮小化が進み、同時に公的施設・お店・公園等が充実したことにより、我が家は家族専用の場所と割り切る 傾向にあります。合理的・経済的ではありますが、家の本来の楽しさを失っているようにも思えます。
そこで今回のテーマは、限られた敷地や居住面積を前提に、家族以外の人々とも楽しい時間を過ごすことができ る家のつくり方を提案するものです。限られた面積内の提案ということで、上記の「LDK+nB 型」とは違う発想でス タートし、人を招く外観や空間構成、庭と家の関係、建具や家具の可変性など、様々な視点から検討を進めてくだ さい。どのような仲間や友人が集まって何を楽しむかについては各自で想定してください。
ただし、アイディアを競い合うコンペですから、広めのリビングルームに友人たちが集まってパーティーをしてい るシーンを描くだけでは、多数の応募案の中に埋没してしまいます。入選を目指すには、テーマに対して深く考察 されていること、新しい発想が入っていること、提案のポイントが明快で魅力的であること、優れたプレゼンテーショ ンであることが重要です。また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も考慮に入れてください。
- 北陸の地域特性を活かした住まい
- 心豊かで健康な住まい
- 地域や街の景観・安心・快適への貢献
審査員
審査員長 | 蜂谷 俊雄(金沢工業大学教授) |
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審査員 | 濱田 修(濱田修建築研究所) 西本 雅人(福井大学講師) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部(高専4~5年含む)
- 大学・大学院の部(専攻科含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
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特別賞 | オダケホーム賞 | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北日本新聞社賞 | |||
北國新聞社賞 | |||
福井新聞社賞 | |||
優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 |
※高校の部においては、先生方の熱心なご指導に感謝し、表彰金の半分を学校へ記念品として贈呈いたします。
「第25回北陸の家づくり設計コンペ」結果
オダケホームが主催する「第25回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が2019年9月に行われ、3部門、計11点の入賞作品と8点の佳作が決定しました。今年度の応募総数は102点。
表彰式・作品発表会
日時 | 2019年10月19日(土) |
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会場 | 富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F) TEL076-445-4531 住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横) |
このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。
※高校の部においては、先生方の熱心なご指導に感謝し、表彰金の半分を学校へ記念品として贈呈いたします。
作品展開催
福井大学 | 福井市文京 | 10/24(木)~10/31(木) |
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福井工業大学 | 福井市学園 | 11/1(金)~11/11(月) |
金沢工業大学 | 野々市市扇が丘 | 11/16(土)~11/22(金) |
富山新聞社 高岡支社 | 高岡市広小路 | 11/26(火)~12/2(月) |
北日本新聞社 高岡支社 | 高岡市あわら町 | 12/3(火)~12/10(火) |
富山大学 高岡キャンパス | 高岡市二上町 | 12/14(土)~12/20(金) |
日本海ガスショールーム プレーゴ | 富山市黒崎 | 1/7(火)~1/14(火) |
その他、オダケホーム常設展示場にて作品展示予定
審査員総評
今回のテーマにある「集まる・楽しい」という言葉が反映されたせいでしょうか、審査会場に入った瞬間に、明るいイメージの作品群で埋め尽くされた、いつもと違う会場の華やかさを感じました。さて、令和になった現在、皆さんは家にどのような目的で家族以外の人が集まり、その場所をどのように楽しみながら生きることを想定したでしょうか。また、それをどのような特徴や魅力のある空間として描き出せたでしょうか。
課題説明では、①「LDK+nB型とは違う発想でスタートし、人を招く外観や空間構成、庭と家の関係、建具や家具の可変性など、様々な視点から検討を進めてください」と記し、さらに、②「どのような仲間や友人が集まって何を楽しむかについては各自で想定してください」という2段階にわけた説明をしました。その結果、①については、多くの案が一般的な「LDK+nB型」を超えた斬新な提案になっていました。これは建築の全体構成、空間相互の関係、内外の建築表現の特徴などを構想し描き出すという建築設計全般にあてはまる空間構築能力を問うものであり、コンペ案として建築を考え組み立てる基礎能力の差が出るところです。この視点で見ますと、高校生から大学院生へと経験を積む中で、より深く、より巧みに建築を考え描くことができるようになっていく成長の過程が見えました。②については、その場所に人々が集まり、イメージした空間との関係において何をどのように行うかを具体的に描くものです。そして、魅力ありと想定した活動スペースと建築の全体構成との関係も示す必要があります。ここでは課題に対してどのような魅力を盛り込むかという企画構想能力が問われています。しかし、この②の状況について説明がない、あるいは具体的なシーンの描写が希薄な作品が多くありました。イメージを具体的に提示できる能力は重要であり、自宅の設計を依頼してきたクライアントの夢を大きく膨らますことができることは、優れた設計者の条件とも言えます。誤解のないように追記しますが、この①と②のチェックポイントは別々に考えるものではなく、案をまとめるプロセスにおいて同時に考えなければなりません。
審査は1次と2次の2段階で行いました。2次審査では各作品に対する意見交換を繰り返し、徐々に数を絞り込み、最終的に入賞作品と佳作を選びました。評価のポイントは、テーマに対する考察力、コンペ案としての面白さ・斬新さ・現実性、プレゼンテーション能力でした。今回残念ながら入賞できなかった皆さんは、ここに掲載された作品とご自身の作品を見比べてください。その違いがわかった時が最も勉強になる瞬間であり、次に向けた新たな努力目標が生まれます。来年も異なるテーマで第26回のコンペが開催されます。次回の応募に向けて、建築に対する見識を深め、イマジネーションを豊かにし、表現力を高めてください。また、本コンペの特徴は、建築設計の仕事を志す北陸ゆかりの学生諸君にとっての教育の場であるということです。可能な場合は継続的に応募することで自身の成長を試す機会としてください。
審査員長 金沢工業大学教授 蜂谷 俊雄
審査結果
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最優秀賞
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(専攻科含む)
短大・専門学校の部(高専4〜5年含む)
高校の部(高専1~3年を含む)