第12回北陸の家づくり設計コンペ
「第12回北陸の家づくり設計コンペ」概要
テーマ:景観を育む家
戦後生まれの都市近郊住宅地では良好な街並み景観が形成されていません。住民の価値観やライフスタイルはさまざまですし、建築自体も多様な構造、工法、材料、形態、色彩が入り混じり、さらに塀や駐車場が加わって雑然とした街並みになっていて、江戸期のような街並みの統一性はもはや不可能かと思えるほどです。そうした状況の中で、国は美しい国づくりを求めて景観法を制定し、地方自治体は景観条例を定め、地域は地区計画や建築協定、緑化協定などを決めるなど、さまざまなレベルで街並み景観向上へのルールづくりが積み重ねられています。景観はそうしたルールと共に、1つ1つの建築の積み重ねでつくられるものです。1つ1つの住宅の形態や空間、前庭や駐車場、門、塀、外灯、そして緑化や地球環境への配慮、安心安全の地域コミュニティーづくりなどが加わった総体的な住まいのデザインの積み重ねが住宅地景観になるのです。そこで今回のテーマは街並み景観を先導するような、周辺住宅に働きかけるような1つの住まいのデザインを求めます。
また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も盛り込んでください。
- 家族の絆を育む住まい
- 北陸の地域個性を活かした心豊かで快適な住まい
- 長期経済性のある住まい
- 地域との調和、地球環境との共生の住まい
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部
- 大学・大学院の部(高専4~5年含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
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優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 | |
特別賞 | 北日本新聞社賞 | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北國新聞社賞 | |||
たんぽぽ賞(オダケホーム賞) |
※高校の部については、建築科、建築クラブの取り組みとして先生方にも熱心にご指導頂いており、賞金の半額を記念品として学校へ贈呈します。
審査員
審査員長 | 水野 一郎(金沢工業大学教授) |
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審査員 |
稲葉 実(三四五建築研究所所長) 福井 宇洋(福井大学工学部助手) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
「第12回北陸の家づくり設計コンペ」結果
オダケホームが主催する「第12回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が平成18年9月に行なわれ、3部門、計9点(団体特別賞含む)の入賞作品が決定しました。今年度の応募総数は117点。
表彰式・作品発表会
日時 | 10月28日(土)15:00~17:30 |
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会場 | 富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F) TEL076-445-4531 住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横) |
このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。
※高校の部においては、先生方の熱心なご指導に感謝し、表彰金の半分を学校へ記念品として贈呈いたします。
作品展開催
北電ワンダーラボ | 11月1日(水)~11月5日(日) | 富山市牛島町 |
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北陸銀行高岡南支店 | 11月10日(金)~11月21日(火) | 高岡市問屋町 |
福井大学 | 11月24日(金)~12月1日(金) | 福井市文京 |
金沢工業大学 | 12月5日(火)~12月12日(火) | 野々市町扇が丘 |
エルフ金沢 | 12月13日(水)~12月19日(火) | 金沢市下本多町 |
北日本新聞社高岡支社 | 12月21日(木)~12月28日(木) | 高岡市あわら町 |
北陸銀行高岡広小路支店 | 1月10日(水)~1月19日(金) | 高岡市丸の内 |
福井工業大学 | 1月23日(火)~1月29日(月) | 福井市学園 |
以降、オダケホーム常設展示場にて作品展示予定 |
総評
「景観を育む家」というテーマは一見、抽象的であり、巾広さもあるので難しいテーマかなと若干危惧していたのですが、数多くの応募があり嬉しく思うと共に、今の時代の重要テーマであることを再確認致しました。テーマの意図は応募要領に示した通りです。(※上記の「第12回のテーマ」参照)
このテーマに対し応募されてきた提案は多様ですが、主に次の3つの系統に分類できそうです。
- 前庭緑化、壁面線後退、駐車場配置、門灯・標札形状など街並み形成のルールを持つことによって美しく秩序ある景観を求めるもの。この延長上に建築協定、地区計画、景観条例などがあります。
- 大屋根型式とか格子壁面とか大型テラスなどといった強いエレメントを共通化することで、美しく強い個性のある景観を求めるもの。伝統的街並みのほとんどはこの先行事例だと言えます。
- 雁木、ひさし、テラス、土間など近所の人も使えるセミパブリックスペースを持つことで、コミュニケーションのある安心安全のまちをつくりながら、景観的にも統一感を持たせようとするもの。
以上の提案が主でしたが、意外にほとんどなかったのは気候風土からの景観提案でした。気候の全く異なる北陸と沖縄と北海道では当然景観も異なってくるはずですから、雪国北陸の家からの景観的提案があっても良かったのではと思いました。
そのようなことから次回のテーマを「雪国の家」としました。奮ってのご応募を期待しております。終わりに今回も多数の応募をいただいた皆様に感謝申し上げます。
審査員長 金沢工業大学 教授 水野一郎
審査結果
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最優秀賞(全体の中で1点)
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(高専4~5年を含む)
短大・専門の部
高校の部(高専1~3年を含む)
(敬称略)