第13回北陸の家づくり設計コンペ
「第13回北陸の家づくり設計コンペ」概要
テーマ:雪国の家
冬の北陸、冷たい季節風が日本海でたっぷり水分を含んだ後湿った重い雪となって降り注ぎます。住宅の屋根の上にも、庭や玄関前やサービスヤードにも、道路や公園にも降り積もり、街全体を銀世界にしてしまいます。この自然の営みは美しく荘厳でもありますが、環境を一変させることで人々の生活や行動に多くの影響を与えます。
家づくり街づくりにも当然のことながら雪の影響に対する方策が必要となります。家の間取り、空間、装置、材料、あるいは街並みや道づくりのルールなど雪に対してどんな工夫やアイディアがあるのでしょうか。雪に強い克雪の家、雪に親しむ楽雪の家はどんな姿をしているのでしょうか。今回は雪を北陸の雪とし、立地を平野にある都市部として「雪国の家」への提案を募集します。
また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も盛り込んでください。
- 家族の絆を育む住まい
- 北陸の地域個性を活かした心豊かで快適な住まい
- 長期経済性のある住まい
- 地域との調和、地球環境との共生の住まい
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部
- 大学・大学院の部(高専4~5年含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
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優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 | |
特別賞 | 北日本新聞社賞 | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北國新聞社賞 | |||
たんぽぽ賞(オダケホーム賞) |
※高校の部については、建築科、建築クラブの取り組みとして先生方にも熱心にご指導頂いており、賞金の半額を記念品として学校へ贈呈します。
審査員
審査員長 | 水野 一郎(金沢工業大学教授) |
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審査員 |
稲葉 実(三四五建築研究所代表) 福井 宇洋(福井大学大学院工学研究科助教) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
「第13回北陸の家づくり設計コンペ」結果
オダケホームが主催する「第13回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が平成19年9月に行われ、3部門、計10点の入賞作品が決定しました。今年度の応募総数は132点。
表彰式・作品発表会
日時 | 10月28日(日)15:00~17:30 |
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会場 | 富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F) TEL076-445-4531 住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横) |
このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。
作品展開催
エルフ金沢 | 11月7日(水)~11月11日(日) | 金沢市下本多町 |
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金沢工業大学 | 11月12日(月)~11月17日(土) | 野々市町扇が丘 |
北日本新聞社高岡支社 | 11月26日(月)~12月1日(土) | 高岡市あわら町 |
福井大学 | 12月4日(火)~12月10日(月) | 福井市文京 |
福井工業大学 | 12月11日(火)~12月15日(土) | 福井市学園 |
日本海ガスショールームプレーゴ | 12月21日(金)~12月25日(火) | 富山市黒崎 |
北陸銀行高岡南支店 | 1月9日(水)~1月15日(火) | 高岡市赤祖父 |
北陸銀行高岡広小路支店 | 1月16日(水)~1月22日(火) | 高岡市丸の内 |
以降、オダケホーム常設展示場にて作品展示予定 |
総評
北陸の平野にある都市が「雪国の家」の立地です。北陸の雪は北海道や東北の雪とも、山陰の雪とも異なり湿気を含んで重く、しかも大量に降る雪です。この差異は当然、家づくり、道づくり、まちづくりに反映され、それぞれ異なる居住環境が生まれる筈です。ましてや雪の少ない静岡や広島などの太平洋側の住宅や街とは同じではないのです。
今回はこうした「北陸の雪」という地域特性を考慮した住まいへの提案を求めました。昨冬は雪が少なかった上に、提案を求めた時期が記録猛暑の夏だったにも拘らず多数の応募作品があったのは、課題への関心の高さだと思いました。
作品に見られた提案はさまざまにありましたが、概ね4項目に分類できます。
- 昔からの雪囲いの知恵を現代に活かす。
雪のない半戸外空間を確保し、通行、出入り、収納、物干しなどの営みに支障をきたさないようにする雁木、雪囲い、土間、土庇などを現代住宅に採り入れる。(電熱などのエネルギーや井戸水などの水資源を使った消融雪の提案はありませんでした。) - 雪への対処空間を四季の楽しみやコミュニティー活性化の空間にも兼ねさせる。
雁木や土間や屋根付テラスなどを冬のためだけではなく春、夏、秋にも住生活を豊かにするものと捉えたり、御近所の人々と交わる開かれた場としたりの提案があり、感心しました。 - 雪を楽しむ
雪がしんしんと降る風景は美しく、時に荘厳です。また、雪が積もって生まれる一面の銀世界は大変造形的です。昔からある雪見障子のように、その美しい景観をじっくり味わう楽雪の提案がいくつもありました。 - 雪を利用する
住まいのまわりで雪あそびやコミュニテイー行事を起こすのに雪を利用したり、雪を貯めて水槽や熱源として利用したりの利雪の案もありました。
以上のように、北陸の雪を考察し、課題を探し出し、建築として解決策を創造してゆくという一連の営みが幅広くなされたことが応募作品の中に感じとることができました。それらの提案を整理しまとめれば東京発行でない北陸からの「雪国の家づくり」という本が出来るのではと思いました。応募された皆様の努力に敬意を表し、かつ感謝を申し上げます。
審査員長 金沢工業大学 教授 水野一郎
審査結果
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最優秀賞(全体の中で1点)
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(高専4~5年を含む)
短大・専門の部
高校の部(高専1~3年を含む)
(敬称略)