第15回北陸の家づくり設計コンペ
「第15回北陸の家づくり設計コンペ」概要
テーマ:物語の生まれる家
地球環境を守ることが人類共通のテーマとなり、家の特徴説明の多くが省エネルギーに係わる断熱性能・設備機器・太陽光発電などで語られています。環境負荷の低減が現在の最重要課題であることは確かですが、一方で永遠の課題として住居は家族が生活を共にし、様々な思い出をつくり共有する空間であることも忘れてはなりません。ここでは、そのことを住まいが生み出す家族の物語と呼びましょう。例えば、「祖父が池の清掃のために鯉を桶に移している姿を縁側で眺めている祖母」、あるいは「友人が集まるパーティのために建具を動かしてワンルームの空間をつくろうと頑張っている父親の作業をワクワクして手伝っている子供たち」など、住空間と人間の行為から多くの物語が生まれます。このような物語が生まれ、友人に我が家の自慢話が延々と語れるような魅力ある空間や場所をもった「物語の生まれる家」を提案してください。また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も付け加えてください。
- 心豊かで、健康な住まい
- 地域や街の、安心安全快適への貢献
- 北陸の地域特性を活かした住まい
審査及び表彰
審査
部門別に行います
- 高校の部(高専1~3年含む)
- 短大・専門学校の部
- 大学・大学院の部(高専4~5年含む)
表彰
最優秀賞 | 1点(部門を問わず) | 賞金10万円 | |
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優秀賞 | 各部門2点まで | 賞金5万円 | |
特別賞 | 北日本新聞社賞 | 各1点(部門を問わず) | 賞金5万円 |
北國新聞社賞 | |||
たんぽぽ賞(オダケホーム賞) |
※高校の部については、建築科、建築クラブの取り組みとして先生方にも熱心にご指導頂いており、賞金の半額を記念品として学校へ贈呈します。
審査員
審査員長 | 蜂谷 俊雄(金沢工業大学教授) |
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審査員 | 福井 宇洋(福井大学大学院工学研究科助教) 濱田 修 (有限会社濱田修建築研究所) 他オダケホーム(株)より2名 |
(敬称略)
総評
「物語の生まれる家」というテーマは、これまでの「100年住宅」、「雪国の家」、「景観を育む家」、「安全・安心の家」「緑化の家」、「環境共生住宅」という具体的なキーワードに照準をあてたテーマとは異なり、住居に対する様々なイメージの中から自由に題材を抽出し展開できるものであり、誰もが住空間への夢を膨らませ、何か面白い提案ができそうだと直感できるものであったと思います。その結果、応募総数も多く、異なる発想の魅力ある案が多数集まりました。
住空間を工夫することで新たな人間の活動が生まれ、そこで営まれる行為が人間と空間の物語となるような魅力あるシーンとして描き出すこと、これが今回のメインテーマでした。この課題に対する提案内容には様々なものがありましたが、審査の過程で以下のような5つのレベルに大別して評価することができました。そして、(5)あるいは(4)のレベルに達していた作品が入選作品になりました。
- 住宅の平面図や断面図の中に、中庭・縁側・吹抜などが描かれているが、その部分や空間に特徴をもたせたいという思いを示す程度にとどまっている案
- 洗練された、あるいは面白い建築形態や空間を描き出し、建築をつくる能力が十分あることを示してはいるが、物語が生まれるというテーマとの関係性がはっきりしない案
- 魅力ある居住空間や、物語が生まれそうな空間を描き出してはいるが、そこで行われる活動のイメージが表現されず、審査員の想像にお任せしますという案
- 優れた建築像や居住空間を提示し、さらに、その最も特徴のある部位や空間を対象に、魅力的な人間と空間の物語りを具体的に描きだしている案
- 上記(4)を前提に、最も重要なポイントを分かりやすく巧みな手法で表現している案
残念ながら選外であった皆さんは、ご自身の作品が(1)~(5)のどのレベルに位置するかをじっくりと考えてみてください。上位に選ばれた案と自身の案の違いがわかった時が、このコンペに応募して最も多くが得られた瞬間になっていると思います。
実際の建築設計作業においては、現実的諸課題の解決にパズルを解くような苦労を重ね、気づかないうちに発想が貧困になっていることがあります。一方で今回のテーマのように、イメージをどんどん膨らませ、イマジネーションの限界に挑戦するようなトレーニングは、収縮して硬くなった脳を風船のように膨らませ、豆腐のように柔らかくする特効薬になるといえるかもしれません。
審査員長 金沢工業大学教授 蜂谷 俊雄
審査結果
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最優秀賞(全体の中で1点)
特別賞
優秀賞
大学・大学院の部(高専4~5年を含む)
短大・専門の部
高校の部(高専1~3年を含む)
(敬称略)