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テーマ:土間を活かした新しいライフスタイル

今回の課題は「土間」がテーマです。古い日本家屋には土間がよく見られましたが、ライフスタイルの欧米化にともない、住居の中に土間をつくることがなくなりました。若い皆さんには、田舎の祖父母の家を訪ねた時に見かけた珍しい空間かもしれません。
天候に左右されない土間は、農村や漁村では農機具や漁具の手入れを行う作業場として活用されました。また、町家では玄関をくぐると部屋との間に土足で歩き回れる屋内空間がありました。この土間はさらに奥にある炊事場につながり、さらに住居の裏庭の勝手口まで続いていました。いわゆる「通り土間」です。このような土間の魅力は、高山市の吉島家住宅(重要文化財)などを訪ねた時に感じます。今回は、「土間」をテーマに様々な思考を巡らせ、土間を活かした新しいライフスタイルを提案してください。
ここからは考えるヒントになりますが、土間は多くの可能性を秘めています。例えば「土足で歩き回れる屋内空間」から発展させ、外部に接する部分に土間を設けることで、建具を開閉させれば外部空間と一体化して使うこともできます。このように「内にも外にも成り得る」のが土間の特徴と考えると、イメージが膨らむのではないでしょうか。さらに、土間を立体的に考えることで面白い結果を生み出すかもしれません。ヒントは色々ありますが、エスキースの初期の段階で「土間」をテーマに仲間と議論してみると、より早くアイディアが生まれることもあります。
ただし、アイディアを競い合うコンペですから、平面図のある部分に土間を入れて描いてみましたという案では、多数の応募案の中に埋没してしまいます。入選を目指すには、テーマに対して深く考察されていること、新しい発想が入っていること、提案のポイントが明快で魅力的であること、優れたプレゼンテーションであることが重要です。

また、住宅として当然必要な下記の項目に対する提案も考慮に入れてください。

  1. 北陸の地域特性を活かした住まい
  2. 心豊かで健康な住まい
  3. 地域や街の景観・安心・快適への貢献

審査員

審査員長蜂谷 俊雄(金沢工業大学教授)
審査員濱田 修(濱田修建築研究所)
西本 雅人(福井大学講師)
他オダケホーム(株)より2名

(敬称略)

審査及び表彰

審査

部門別に行います

  1. 高校の部(高専1~3年含む)
  2. 短大・専門学校の部(高専4~5年含む)
  3. 大学・大学院の部(専攻科含む)

表彰

最優秀賞1点(部門を問わず)賞金15万円
特別賞オダケホーム賞各1点(部門を問わず)賞金8万円
北日本新聞社賞各1点(部門を問わず)賞金7万円
北國新聞社賞
福井新聞社賞
優秀賞各部門2点まで賞金5万円

※高校の部の賞金については、建築科・建築クラブの取り組みとして先生方にも熱心にご指導いただいており、賞金の半額を記念品として学校へ贈呈いたします。

「第27回北陸の家づくり設計コンペ」審査結果

オダケホームが主催する「第27回北陸の家づくり設計コンペ」の審査が2021年9月に行われ、3部門、計11点の入賞作品と8点の佳作が決定しました。今年度の応募総数は174点。昨年よりも多い応募数となりました。たくさんのご応募ありがとうございました。

審査員総評 

今回も新型コロナウィルス感染蔓延の時期とコンペ応募最終段階が重なりました。結果は、昨年よりも35点多い174作品の応募があり、第19回コンペ以来、最多の応募数でした。さて、今回のテーマは「土間」でした。審査委員会がこのテーマを選定した理由として、学校の住宅設計課題で土間を活かした提案が多くなる傾向があることから、応募者がイメージしやすく、応募総数が増えるのではないかという期待がありました。そして応募案には、伝統的な土間空間の魅力を分析し、それらを発展させて現代のライフスタイルに合わせた新しい空間構成、演出、機能性、快適性、社会性などを絡めた独創性を期待しました。
「土間」からスタートし、イメージを膨らませて魅力ある現代の新しいライフスタイルが提案できたでしょうか。まず、応募案の全体を概観してみます。最も多かったのは、「土間スペース=土足エリア」という解釈のもと、一般的な住宅平面を前提にリビングやダイニングスペースの床仕上げを土足仕様の材料に置き換えた案でした。さらに、欧米のライフスタイルのように、ベッド以外のすべての床を土間にしている案もありました。「土間を活かした」という意味については、誤解のないように課題説明文に事例も含めてわかりやすく説明していたはずです。次に多くあったのは、大屋根・大庇の下やピロティ部分に土足で活動できる土間エリアを設け、庭との一体感や街との関係を描いた提案でした。また、中心に居心地の良い吹き抜けの土間空間を配置し、周囲に個室・水まわりを散りばめた案、伝統的町家のトオリニワのような空間が住居内を巡る案、住居まわりに路地的スペースを配した案、広がりのある土間空間に活動に合わせた可変性をもたせた案もありました。
 以上が応募案の概要ですが、コンペはさらに多数の応募案の中に埋没しないように、独自の考察や論理の展開を試み、審査員が詳しく見れば見るほど「よく考えてある」と思える内容でなければなりません。「よく考えてある」とは、今回の課題ではどのようなことを意味するか。それは各入選案によって異なりますので、入選作として掲載されている図面と審査講評をよく見てください。同じようなテーマ設定で応募したにもかかわらず、残念ながら落選となった場合は、入選案との違いが何であったかを探ってください。それが理解できた時に何かが学べ、次への挑戦意欲が湧いてくるものです。また、一時審査の段階でスケッチが抜群に上手で、目を引いた案もありましたが、二次審査でさらに詳しく見た時点で選外になりました。つまり、プレゼンテーションは抜群でも提案内容が平凡では選ばれないということです。
今回の審査における私のチェックポイントは、①伝統的土間空間の特質や構成を継承する何かを感じさせるか、②伝統的土間空間の踏襲に終わらず現代の感性や機能性から何かを発展させているか、③部分的な土間空間のアイディアに留まらず住宅の全体構成にまで提案が発展しているか、④自己完結した住宅ではなく街との新しい関係を生み出そうとしているか、などでした。100点の答えがないところが建築設計の評価であると言われるように、審査員によっては異なる評価をする場合もあります。しかし、今回の審査は5名の審査員で行いましたが、選ばれた最優秀案は珍しく全審査員が最も高く評価した作品でした。

審査員長
金沢工業大学教授 蜂谷 俊雄

入賞者発表

第27回北陸の家づくり設計コンペに入賞された皆様、誠におめでとうございます!

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最優秀賞

最優秀賞作品

        ヒトリヒトドマ
『ひとつなぎの家 1土間/人のある暮らし』

山田 裕大

福井大学大学院1年

―作品総評―

家族一人一人の居室の間に、街に対して開閉できる土間を設けることで、個人と街の関係を時に応じて選べると共に、土間を介して住居内を貫通する視覚的一体感を生み出している。伝統的土間空間の特徴を分析・発展させ、複数の土間空間の配置を工夫することで、住宅と社会の距離感、街と個人の関係、居住空間の魅力・快適性などのテーマを同時に解いている。審査員が本テーマに期待した内容が的確かつ魅力的に描き出されている。(蜂谷)

特別賞

オダケホーム賞

たんぽぽ賞(オダケホーム賞)作品

『波土間に住む』

北野 陽菜

富山工業高等学校3年

―作品総評―

内外に連続する土間スペースに、地形をデフォルメした起伏をつけて「波土間」と呼んでいる。さらに天井もジグザグに変化させ、見え隠れし、状態が異なる場所が散りばめられた空間をつくることで、様々な生活行為を誘発し、予期せぬシーンが生まれることを期待している。住居の中に、丘・斜面・洞窟などの疑似自然的地形(波土間)をつくることで、人間の動物としての本能や感性を引き出す住まい方を提案した独創性が評価された。(蜂谷)

北日本新聞社賞

北日本新聞社賞作品

『斜面に浮かぶ土間の暮らし』

髙田 庸介

富山クリエイティブ専門学校2年

―作品総評―

高低差のある敷地に斜面の「土間」を置いた案である。斜面の上からは土間脇、そして住宅の両脇から湧き水を流しており、連続性ある空間のつながりを水で表現している。ダイナミックな構図のパースは目を見張るものがあった。特に土間の横に流れる水の流れの表現がとても美しい。水を流す大胆な発想は建築(住宅)と土木(地形)を掛け合わしたいという作者の意図によるものである。惜しい点は壁の配置の理由の説明がないことで魅力が伝わりきれなかったことである。(西本)

北國新聞社賞

北國新聞社賞作品

『登り土間の家』

宮西 夏里武・田中 優衣

信州大学大学院1年(2名共同)

―作品総評―

近江町市場の通りを「土間」に見立て、その土間から住宅の内部へ引き込む連続的な空間を「登り土間」とし、商店街から住宅への繋がりを表現した案である。その繋がりはかつてのこの地に当たり前にあった職住一体の生活を取り戻すものであり、建築がこの地でどうあるべきかという姿勢を示すものでもある。この土地のリサーチをしっかりとしていることを評価したい。ただ、登り土間という魅力的なコンセプトにしては提案する住宅が小さくプランの制約をつけすぎたのではないかとも思われる。(西本)

福井新聞社賞

福井新聞社賞作品

『地を編む土間がつなぐ家』

加藤 穂高

福井大学4年

―作品総評―

ほとんどの案が土間を広く設計している中、この案は土間の扱いを各所室の間に隙間のように配置することで外部空間を身近に引き寄せて日常生活のいろいろなシーンでいつも外を感じながら過ごせる魅力的な空間を提案している。住宅地内で狭い土間が小動物を招き入れる装置として作用するなど、今までにない土間の扱いが斬新で評価できる。内外の境の扱いや隙間のメンテナンス法など解決すべき点は多いと思うが、日常生活に自然環境が馴染んでいるパースも解りやすくて評価した。(濱田)

優秀賞

大学・大学院の部(専攻科含む)

優秀賞作品

『ドアドマの家—身体化する角度の住まい方—』

藤田 皓也

金沢工業大学大学院2年

―作品総評―

道路に面する立面全てをドアにすることで、その開閉によって土間の領域を変える案である。その大胆な発想はシンプルであるが強烈な印象である。この発想のきっかけは下宿するアパートの中に土間はあるのか?という自分への問いであった。アパートの開き戸を開けることで玄関が少しだけ広がることに着目して、その仕組みを肥大化させたものがこのドアドマである。日常のふとしたことから着想を得た気づきを評価したい。一方でその仕組みにエネルギーを注いだ分、住宅の間取りが簡素だったことが残念であった。(西本)

優秀賞作品

『Floating space』

奥島 亜実・中村 一稀

福井工業大学3年(2名共同)

―作品総評―

季節や天候など状況に合わせて、使いやすい配置に変更できる可変性プランは、大空間を小さなマット状の床と自由度が高いカーテンの組合せで可能にしている。提案のように家族間で相談しながら広い土間を自由に使いこなしている様子は、家族の協調性と絆を強くするのではないかと思わせる家になっている。建築設備など動かせない所室があるので自由度には疑問が残るが、可変性が高そうに思わせるプレゼン力も合わせて評価した。(濱田)

短大・専門学校の部(高専4〜5年含む)

優秀賞作品

『紡土間』

今村 亜梨紗

金沢科学技術大学校2年

―作品総評―

一般的な住宅団地の中で本来なら塀を設けてしっかりと区分けする隣地境界部分をこの案では、それぞれの住戸が提供し合い、土間として開放することで住民が集える広いスペースを設けようと考えたものである。半端なスペースも2~4ヶ所集めてコミュニティーが生れる空間を上手く設けている。また各住宅の深い庇が空をジグザグに切り取っている様子はそこに面白さを付加させていると思う。交流スペースと住宅が自然な形で繋がる様子を表現しているパースがあればもっと評価できた。(濱田)

優秀賞作品

『はんてんまどま』

寺田 優衣・大塚 壮太
竹原 天太・徳成 奏夢

石川工業高等専門学校5年(4名共同)

―作品総評―

この案のアイディアを見たときは衝撃だった。審査員の想像を超えていく案が稀にあるが、この作品がまさにそれであった。密集する住宅地の中で曳家を行うことで露出した住宅の基礎を土間として周辺住民とのコミュニティの場として活用するものである。曳家に着目したことも素晴らしいが、なにより「もともと住宅にあったもの」を土間として活用していくという視点が面白かった。プレゼンの下部にこの土間を使った新しいライフスタイルが描かれていることも評価した点である。(西本)

高校の部(高専1~3年を含む)

優秀賞作品

『変移する土間の家』

岩田 英華・金田 悠花・粟原 桜

石川工業高等専門学校3年(3名共同)

―作品総評―

この案は住宅の長い時間軸の中で木造の躯体をそのままに、土間に特化してプランを変化させて長く住める家の提案である。家族が少なくなり減床する場合は、土間に畑を作り、温室にして使用するなど土間の中間領域としての特性をよく理解し、増幅させている点を評価した。自然と共に家族が長年に渡り、愛着をもって住む家であると思う。住人の人生を垣間見るようなプレゼン方法も好感が持てて評価した。(濱田)

優秀賞作品

『渦 MACHIYA ~新しいバリアフリーのありかた~』

長瀬 茜・鹿熊 咲妃・中村 陽愛

富山工業高等学校3年(3名共同)

―作品総評―

この案は「通り土間」を使った系統の提案であるが、「通り土間」を渦巻き状にすることで本来であれば土間長さが取れないような正方形の住宅でも十分な長さの土間を設けたことが面白かった。他に「通り土間」系統の中でも評価が高かったのは家族設定にある。車椅子を利用する母親がいる家族とすることで家の中を土間にする必然性が生まれ、土間に対して段差を設けることで車椅子の母親との目線を合わせることができる。まさに土間を使った新しいライフスタイルだと思わせるような案であった。(西本)

佳作

佳作

『受け入れるカタチ 家族の循環と土間がつなぐ暮らし』
草間 大迪(関西大学大学院1年)
清川 侑夏(関西大学4年)(2名共同)

佳作

『関咲帯』
西尾 依歩紀

金沢工業大学3年

佳作

『篭り人の丁寧な暮らし』
大塚 旅詩

金沢工業大学大学院2年

佳作

『GEOTHERMAL HOUSE 温度を自足する家!』
野村 優介

金沢情報ITクリエイター専門学校2年

佳作

『大-土-間 』
堀田 修吾・北川 竜輝・玉井 大和・吉澤 実紗

石川工業高等専門学校4年(4名共同)

佳作

『SOHO二世帯茶屋 ~働き、住まい、繋いでいく~』
北上 晃

金沢科学技術大学校1年

佳作

『横丁に住む』
土肥 和奏

金沢市立工業高等学校3年

佳作

『活動する土間のいえ』
内野 優太郎・内田 大陽

富山工業高等学校3年(2名共同)

今後のスケジュール 【表彰式・作品発表会】

日時2021年10月23日(土) 15:00~17:30
会場富山県民小劇場オルビス(マリエとやま7F)
住所:富山市桜町1丁目1番61号(JR富山駅前横)
TEL 076-445-4531 

表彰式・作品発表会

このコンペでは、建築を学ぶ学生が自分の作品を発表したり、テーマについて論議する機会が少ないことから、入賞者本人によるプレゼンテーションや、応募者、また当社設計士も参加してのディスカッションを行っています。互いにコンセプト、工夫やこだわりを存分に発表し、これからの北陸の家づくりについて、語り一緒に考える良い機会となることを期待しています。
このコンペが、設計者を目指す学生にとっての登竜門となり、又、地域の皆様と共に、北陸が培った住文化とこれからの家づくりについて考える契機になることを願っています。

作品展開催 10/25~1/28

◎表彰式・作品発表会の後、最優秀賞、特別賞、優秀賞の作品展示を各会場で以下の日程にて巡回いたします。

金沢科学技術大学校金沢市三社町11-1610/25(月)~11/1(月)
富山大学高岡キャンパス高岡市二上町180番地11/4(木)~11/11(木)
金沢工業大学野々市市扇が丘7-111/15(月)~11/22(月)
福井工業大学福井市学園3丁目6-111/26(金)~12/3(金)
福井大学福井市文京3丁目9-112/3(金)~12/10(金)
日本海ガス プレーゴ富山市黒崎405-612/17(金)~12/24(金)
富山新聞社 高岡支社高岡市広小路1-151/12(水)~ 1/19(水)
北日本新聞社カルチャーパーク高岡(まなぶん)高岡市御旅屋町101(御旅屋セリオ6階)1/21(金)~ 1/28(金)

※各学校での作品展は、新型コロナウイルス対策のため、校内学生のみ見学可となります(土日休み)

※その他、オダケホーム常設展示場にて作品展示予定。

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